写真の権利関係の取り扱いについて
写真の撮影で問題になる1つは、写真の各種権利の問題。普通は、肖像権はモデルさんに、著作権は撮影者(カメラマン)さんにある。しかし、いくらそれら権利を有していても、事情によっては放棄しないといけない場合がある。どんな事がそれに該当するのか、肖像権、著作権、それぞれで見てみよう。まずは肖像権から見てみよう
肖像権とは、分かりやすく言えば、「あなたを無断でに撮影されないように主張できる権利」、「あなたが写った写真や映像を無許可で公表されないように主張できる権利」である。前者は、モデルさん等の撮影のお仕事としてはまずないが、一部の犯罪で現実問題として起きており、具体的には、盗撮などがある。もちろん、各都道府県の条例、種迷惑防止条例違反に該当するし、後にも出てくるが、プライバシー権の侵害であるとも言える。後者は、商用利用や非商用利用に限らず起きてしまう。例えば、撮影した時に、公開に不適切な写真、具体的には、肌の露出が多い写真、モデルさんのイメージに合わない写真など、公開してほしくない写真を、「公開しないで欲しい。」と具体的に主張できる。また、SNSや出会い系サイトで勝手に使われるなんて場合もある(肖像権侵害、著作権侵害にも該当)。それでは、上記でも書いた「事情により権利を放棄しないといけない場合」とは何かを以下に例として挙げてみました。
1:肖像権の権利を金銭によって他人に譲渡してしまった場合
2:商用撮影の事前の承諾の規約において撮影時の肖像権が放棄されることが書かれておりモデルさんや事務所さんが放棄に同意した場合(目的外使用は除く)
3:コンテスト等の出品で受賞作品が限定的に他への利用がされる時(普通は肖像権の権利放棄という事はあまりなく、著作権放棄という場合が多い)
※主にカメラマンさんが、モデルさん(事務所さん)に許可を取っている場合で、コンテストの主催者さん側が限定的に写真を使用する場合。(コンテスト応募時の規約に書かれていて、モデルさんや事務所さんが限定使用に関して承諾している場合。)
4:事務所が肖像権の管理の代行をしている場合(よく事務所判断でNGとか言われるのは、事務所が肖像権等を代理という形で管理しているため。)
5:肖像権の権利が失効した場合(大昔の写真で本人がこの世にいない場合は肖像権自体が無いと見なされる可能性もある。商用に利用されており、現在もその商品が絶版にならず販売されている場合は、そもそも本人もいないので、残された家族がその権利を代理として持つ場合もある。)
6:肖像権の管理ができない状態になった時(例えば、病気などで意識が無くなった場合、代理でどなたかがその代わりとなる場合がある。)
肖像権で、すぐに思いつくのは、この6つ。この6つを覚えてさえいれば良い。6つもあるのかと思う人もいるかもしれないが、逆に言えばたった6つである。頑張ったら覚えられる数なので覚えておこう。
次に著作権を見ていこう。
写真においての著作権は、基本的には撮影者さん(カメラマンさん)が有している場合が多い。なので、権利は撮影者さん(カメラマンさん)に帰属する。が、著作権をカメラマンさんが有さない場合や著作権侵害になる場合がある。それをここでは紹介しておきたい。
1:写真に写りこんだ写真がある場合(写りこんだ写真は、その元の撮影者に写真の著作権があるので、下手すれば侵害になりかねないので、写りこみは避けるのが普通です。)
2:キャラクターや特定のデザインが写りこんだ写真(オークションなどの紹介画像などを除き、無断で公開された場合は、著作権侵害になる可能性もある。)
3:構図を考えた人と撮影者が別な場合の一部のケース(あらかじめ配置された人工物ばかりの部屋で撮影され、特に人工物のデザインの部分の著作権すら有しておらず、構図すら決めてもらっている場合。ドラマのセットや映画のセットや遊園地等が該当する場合がある。)
4:既にその構図で撮られた有名写真が存在し、全く同じように撮った風景でない写真(真似た程度では、仮に公開しても著作権侵害の可能性は低い。しかし、同じモデルさんを同じ服で同じ構図で撮影し、誰が見ても同じで、自分だけがそれを撮影したかのように写真を公開していると著作権侵害の可能性もある。)
基本的に、カメラマンさんがスタジオでモデルさんを撮影する時、カメラマンさんが野外で撮影する時、他の誰かの著作物、特に著作物のキャラクターや有名人の商品化された写真などが写りこんでいなければ、気にすることはない。SNS 等で見かけるポートレート写真でこれに該当する写真は、めったに見ないので、そこまで気にしなくても大丈夫だとは思う。動画の場合は、入り込む音楽にも気を付けていると安心である。
そもそも、人物すらいない風景写真などは、真似たかどうかに関わらず、「自然にある風景をそのまま撮った=風景は基本的に所有権がない」ので、著作権自体は発生しません。
あまり難しい権利部分については、今回は取り上げないが、こういう事を頭に入れて覚えておいて、撮影時に思い出していただけるとありがい。
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